心をのばす子育て

障がい児がだすサインの解読法

2歳の頃

 「なんだか育てづらいな・・・」と

 

不安を感じた子どものの傾向は、2歳前後になると、

よりはっきりした形で表れてきます。

 

 抱っこしても子供は体を反らすので抱きにくく、しっくりしない感じがする。

 目を合わせることが少なく、表情が乏しい。

 歩き始めてからは呼んでも立ち止まらず、

 振り向きもしないでどんどん勝手な方向に行ってしまう。

 怖がらない、危ない事でも平気でするので目や手が離せない。

 泣きだすと、ちょっとやそっとでは泣き止まない。

 おもちゃなどで目的的に遊ぶ事はしないが、

 棒や紐などを振っていつまでも飽きることがない。

 バイバイなどの模倣をしない。言葉が遅い、出ない。

 奇声は出すものの、喃語すら出ない、等々

 そのような症状がだんだんと色濃くなってきます。

 

一方、それまでは順調に発達していて何の不安も感じていなかったのに、

2歳の頃を境にして〝アレッ” と不安に思う症状が

現れてくる折れ線型と言われる子どももいます。

 2歳になる前には出来ていた指差しや模倣をしなくなった。

 目を合わせなくなった。

 数語出ていた言葉もいつの間にか消えている。

 離乳食は何でもよく食べてくれたのに、2歳を過ぎる頃は食べる食材、

 メニューが限られてきた。

 

f:id:KOBATO:20210226161429j:plain

逆さバイバイ

 

このような症状が目立ってくると、不安に駆られてお母さんは

原因を探そうとするでしょう。

 其の頃、ちょうど弟妹が生まれた、百日咳などの病気で入院した、

 階段から落ちた、転居や海外転勤をした、

 身内に不幸があってかまってやれなかった・・・等々、

 記憶をたどって原因を考え、

一時的なものだと不安を追い払おうとするかもしれません。

 

お母さん方の中には、「アクシデントが原因で・・・。」「病気になったことが原因で・・・」と思い悩む人も少なくありません。

しかし、ちょうど2歳前後という節目の年齢に重なってしまっただけで、

本質的な要因は子どもに内在していたのではないかと思います。

 

2歳前後といえば、子どもが乳児から幼児に変化していく節目の時期と言えます。

この節目には脳に大きな変化、シナプスの苅込が起こる時期でもあるのでしょう。

 

さて症状が色濃く出始めた頃の子どもの脳は外界の事象を認識できず、

コミュニケーションも出来ないカオスの世界なのだろうと推測します。

 

ですから、、この時期の子育ては怖がらせないこと、不安を取り除いて

人や集団に対して、安心と信頼の気持ちを育てることが何より大切です、

 

大声で叱ったり、覆いかぶさる様に強い力で抑えたり、

びっくりさせたりせず、人や社会との関わりが安心できるもの、

心地よいものであることを教えなければなりません

 

しかし、この時期はいたずらやこだわりを強くやり始める時期でもあります。

いくら、メッ!と注意してもすぐまた繰り返したりするので

叱る方が疲れたり、自己嫌悪に陥ってしまいかねません。

 

子どもは叱る声を聞いてびっくりして一時的にいたずらをとめても、

いけないことをした、だから叱られた、もうやらないという

回路は働かないので、またやってしまします。

 

ワーキングメモリーの働きが弱いといわれている自閉傾向の子どもは、

叱られてばかりいると人との関わり方を誤学習してしまいかねません。

また、強いストレスや強制は噛みつきや引っ掻きなどの問題行動の

引き金にもなり得るので、きっかけを作らないようにすることも大切です。

 

言葉での制止がきくようになるまでは、やってはいけないことを止める時も、

脅すような大きい声で、「こら!ダメ―ッ!」というよりは、

無言または低く抑えた毅然とした声で止めるか、

いたずらされたくないものは子どもの視界から取り除いてしまう方が無難です。

ダメなものはダメ!と思ってやった対応が

後で予想だにしないパターンを作ってしまうこともあるからです。

 

こんな話もありました。

裸足で庭に出てしまうので、だめっ!を教えようとお尻ペン!をした。

すると子どもは自分でお尻ペン!して庭に出てしまった。

 

また、何気ない対応がこだわりをつくってしまうことがります。

 

あるお母さんからこんな話を聞きました。

二人目を妊娠して、つわりがひどかったので子どもに一人遊びをしてほしかった。

それでおもちゃより、興味を示していた掃除機を与えて

横になっていることが多かった。

自閉症長男は成長して、ますます掃除機が好きになり、分解するようになった。

お店ではおもちゃ売り場より、家電売り場に行って掃除機を探したがった。

他家に行っても、まず掃除機を探す、と掃除機こだわりは問題行動化。

 

発端を知っているおかあさんは苦笑していました。

 

まだあります。

やはり二人目を妊娠したお母さんが遊び相手をしてやるのが億劫で

ボールで一人遊びをさせようとしたそうだ。

すると自閉症長男はボールを目の敵のように思うのか、

ボールとみれば掴んであらぬ方向に投げるようになった。

自分のボールだけならまだしも、他の子が遊んでいるボールも取って放り投げ

友達の遊びを邪魔してしまう。

お母さんは自閉症長男が小学校高学年になるまで、

ボールがらみのトラブルが起きやしないか、苦情が来やしないか、

ずっと気が休まらなかったと言っていました。

 

長い療育の間に、幼児期に端を発したと思われるこだわりの話を多々きいてきました。

 

三つ子の魂百までもと言いますが、

2歳から3歳にかけて学習(勉強の事ではありません)したことが、

潜在意識に刷り込まれて、その後の子どもの行動パターンに

大きな影響を与えてくことは大いに有り得ることでしょう。

 

f:id:KOBATO:20210125170741p:plain

三つ子の魂百まで?