心をのばす子育て

障がい児がだすサインの解読法

感覚遊び

感覚遊びは自分の世界

 

自閉症状を持つ子どもの場合、

3歳前後頃には人との関わりの弱さが目立ってきます。

名前を呼んでも、手招きしても反応がない!

 

 相手の顔を見ることもなくクレーン現象で要求を満たそうとします。

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自閉症児のクレーン現象

子どもが少しでも興味を持ってくれるかと思って買い与えたおもちゃは、

ちょっと触るだけで手放してしまい、親をがっかりさせてしまいます。

また、興味を持っても本来の遊び方とは違う遊び方なってしまうこともあります。

積み木のようなおもちゃは組み合わせて形を作るイメージ遊びにはならず、

横一列に並べるだけだったり、ただ積み重ねるだけだったり。

並べたものを寝ころんで横目で見ていることもあります。

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並べたり積み上げるのは器用

 

中には 積み木・ブロックを2個手に取って、耳元でカチカチ打ち鳴らして

音に聞き入る子もいます。自分の前歯に打ち当てたりもします。

一人遊び、ごっこ遊びというより感覚遊び、

親、他人が介入すると嫌がる,自分だけの世界です。

 

おもちゃより、どちらかというと紐や棒切れ、お箸などを

高速で振ったり、器用に回して飽きずに見とれていつまでも手放しません。

水道の蛇口から流れる水を手に受けて、催眠にかかったように眺めていたり、

砂や細かい物をばらまいてはぱらぱら落ちるのを

心奪われたように見ていたりします。

 

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水の流れは瞑想の世界に誘導?

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指の間から落ちる砂は水の様?

 

回るものが好きな子どももいます。

車のおもちゃは走らせて遊ぶというより、

寝転んでタイヤがクルクル回るのを見るのが好き!

換気扇が回るのを見るのが楽しくてたまらない、

わざわざ見に行く。

 

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高速で動く!が共通項

 

 皿のような円形の物を見つけると、自分でくるくる回して(それがまた上手!)

見続ける子どももいます。

物だけではなく、自分でくるくる回りしながら斜め上を見る子もいます。

他にも机の縁や角を横目で見ながら小走りしたり、

手をかざしてひらひらしたり、指の間から何かを見たり、と感覚遊びも様々です。

 

 

このような感覚遊びをしている時の子どもの表情は実に心地よさそうで、

満ち足りているように見えます。

おとなしく1人で遊んでいるので、ついつい、そ~っとしておいてあげよう、

好きなだけやらせてあげよう・・・と思ってしまいたくなります。

また、十分に感覚遊びをやらせれば満足して、

次は人の方に心を向けてくれるだろう、と根拠のない期待を抱くこともあるでしょう。

 

しかし、ひも振り、棒振り、水遊び、砂遊び、または回るもの眺めも

対象物こそ違いますが、流れるように動くものに子どもの目と心は奪われ、

くぎ付けになっているので飽きるということがありません。

 

感覚遊びに夢中になっている時は、まるで催眠?瞑想?に入り込んだように

近くで呼んでも振り向かず、聞えていないかのように反応しません。

自分の世界に入り切ってしまします。

そして不安や嫌なことから逃れたい時はなおさら自分の世界に執着しがちです。

 

 

自閉傾向の子どもは、感覚遊びに長時間執着させてしまうと、

自分の世界を強くして、人と関わる意欲や反応が弱くなってしまします。

子どもにとって心地よい癒しの遊びであっても、

感覚遊びに長時間浸らせるということは決して好ましいことではありません。

感覚遊びをゼロにすることは出来ませんが、

子どもが自分だけのの世界に閉じこもってしまわないよう、

出来るだけ人と関わる遊びに誘って行きましょう。

 

ただし、その時は子どもが笑顔を見せるからと言って、

後ろから追いかけるだけの、追いかけっこや、くすぐりっこのような

相手と目を合わせず、ただ逃げるだけの遊びにならない方が良いです。

 

というのも予想外の違った方向のこだわりや

逃げる行動に発展してしまうことがあるからです。

 

ですから、子どもペースの遊びではなく、できるだけ目と目が合う遊び、

相手の顔をみて笑みを交し合う遊びに誘って行きましょう。

無理に目を合わせさせようとしなくとも、自然に目を合わせさせざるを得ないような

遊びや運動に誘っていきましょう。

 

たとえば、こばとの幼児教室でやっていたことですが、

バランスボールやジャンボボールに座らせ、手をつないで弾ませる。

不安定なので正面から顔を見合わせて両手つなぎが続きます。

鉄棒などにつかまらせて、落ちないように子どもの前に立って

両手を押さえてあげます。(落ちそうになると必死に目で訴えてきます。)

両手をつないでシーソー風の腹筋、

上体起こし(起き上がる時、頭から起きようとするので目が合います。)

その他にも寝転んだまま赤ちゃん体操のように体を動かしてあげたり、

足のマッサージをやってあげます。

足のマッサージなどはとても気持ち良さそうです。

子どもが安心リラックスして相手に合わせた動きをする遊び、

子どもの方からもっとやって欲しい、もっと遊んで欲しいと

目で訴えかけてくるような遊びを工夫してみましょう。 

 

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乳児に逆戻りだ!と思わずに

 

 自閉症状を持った子供が自分の世界の感覚遊びより、

安心して人と関わって遊ぶことの楽しさ、

体を使って遊ぶことの楽しさを感じるようになってくれば、

自分から人と関わろうとする意欲も生まれてくるはずです。

 

なかには強い不安傾向がある子もいます。

新しい事、初めての事を激しく拒否する場合は、

意気地がないんだから、と突き放したり、

早々できない出来ないものと諦めてしまわず、

一歩でも半歩でも踏み出せたら、その勇気を褒めて

子どもが自信を持てるようにしていきましょう。自尊感情の土台です。

 

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感覚遊びは瞑想への導入?