心をのばす子育て

障がい児がだすサインの解読法

トイレトレーニング

悩みの種

 

3歳前後の頃から親にとって、いよいよ大きな悩みの種、

焦りの種になってくる育児のひとつにトイレトレーニングがあります。

 

自閉症児の場合、おしっこサインがないというだけならまだしも、

トイレに連れて行っても中に入ることを拒否したり、

便器にまたがることさえ嫌がることもあります。

 

こばとの幼児教室でも便座にまたがることが出来ずに

便座に仁王立ちした重度自閉症女児がいました。

 

狭い空間を嫌がるのか、水洗の水音に怯えるのか、

その拒否の仕方は尋常でないと思える時さえあります。

親としては、もうそろそろ紙おむつをはずさなければ・・・と決心して

トイレトレーニングを始めても、トイレを拒否する子どもの様子を見ると、

日に何回とあるトイレタイムは気が重くなります。

 

それに最近の紙おむつは2・3回分ぐらいのおしっこを吸収しても

サラッとして子どもに不快感を感じさせなのです。

なので、どうしても今々おむつを外さなければ・・という

切羽詰まった気持ちも薄らいでしまい先延ばししたくもなるでしょう。

しかし、いずれはやらなくてはいけません。

 

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布おむつとは比べ物にならない便利さ


さて、トイレトレーニングを始めようと決意したら、

根気、忍耐で続けることが大切です。

まずは紙おむつの感触と決別するためにも

布パンツ(布製のトレーニングパンツ)を穿かせます。

頑として布パンツを拒否して、穿きたがらない子どもの場合、

紙おむつの内側に布パンツをセットして穿かせるのも一つの方法です。

 

子どもにとって、紙おむつは生まれた時から身に着けているものなので、

すっかり体に馴染んでおり、布パンツは嫌がっても

紙おむつを嫌がる子どもはいません。

むしろおしっこは紙おむつにするもの!という体の条件反射が出来上がっていて、

便座に座らせた時は排尿せず、根負けし便座から降ろして

紙おむつを穿かせた途端、おしっこするという

腹ただしい場面を経験されたお母さんも多い事でしょう。

 

トイレトレーニングの最初は

おしっことトイレを結びつけるために、

子どもが布パンツにおしっこをしても、叱らずにトイレに連れて行き

必ずトイレの中で着替える事からお勧めします。

その時、尿が全部出てしまったと思っても、便座に座らせ排尿のポーズを取らせ、

「もうない?おしまい?」と声をかけて新しいパンツに取り替えてあげましょう。

寒いから,狭いからと言って、暖房前や居間で着替えさせていたのでは

トイレとおしっこが結び付きません。

 

朝起きた時、食事の後、ジュースを飲んだ後、外に行く前・・・等

忙しくても面倒と思わず、頃合いを見計らってトイレに連れて行き便座に座らせます。

 

トイレトレーニングを初めて何日か経つと、

だいたい排尿時間の間隔がつかめてきます。

そろそろかな、と思って便座に座らせても、子どもはしぶとく我慢して

便器の中には出そうとしません。

 

こばとの幼児教室に通っていた言葉のない重度自閉症男児

トイレトレーニングが進まないので、お母さんは夏のある日

男児を、すっぽんぽんにして庭で遊ばせていたそうです。

すると、股間から噴水が出てきたのを見た男児は驚いて

お母さんのいる方に助けを求めるように走って来た、と笑っていました。

 

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おしっこ出るのを初めて見た

 

 

中には長めに便座に座らせているとチョロチョロおしっこを出す子どももいます。

しかし、出てきたおしっこにびっくりして排尿を止めてしまうことがあるのです。

よく止めれるもんだとおもいます思いますが・・・。

 

また、言葉は出ないが受容型の重度自閉症男児

指示されるままはおとなしく便座に座るものの何のために便座に座ったのかが??

なので、ペットボトルにぬるま湯を入れ男児股間にチョロチョロと垂らせてやると、不思議そうに股間を見ていましたが、

2回、3回やるうちにつられてチョロチョロとおしっこが出てきました。

 

 本当に一筋縄ではいきません。

 

中には1回で紙おむつが取れた例もあります。

ある大手IT企業に勤めるお父さんと、知的なお母さんが

4才の言葉の出ない重度の自閉症男児こばとの幼児教室に連れて来ました。

初回面談の間中、男児は寝転んだり、大声をだしたり拒否アピール。

まだ紙おむつでした。4才にもなるのになぜ紙おむつを穿かせているのか、と

聞いたところ、紙おむつでないとおしっこをしない、とお母さんが言いました。

「紙おむつを穿かせているからですよ。布パンツを穿かせて下さい。」

ご両親は帰宅後すぐに子どもに布パンツをはかせたそうな。

 

何時間もおしっこをしないと膀胱炎になるのではないか、

などと心配して親の方が負けて、紙おむつを穿かせてしまいがちです。

しかし、男児の両親はトイレ誘導を頑張り8時間過ぎてトイレに連れて行った時

とうとう便器におしっこを出したと・・・。それっきり紙おむつは卒業したとのこと。

判定は重度のだが、男児は几帳面な性格でした。

 

一発で取れなくとも、2回、3回と成功していくうち

連れて行けば出るようになればしめたもの、時間排尿まであと一歩。

尿をトイレに行くまで我慢できるようになれば、

あとは尿意のサイン、言葉を教えるだけです。

 

ウンチの場合、おしっこほど回数は多くないし、

いきんだ顔つきになるのでので排便の雰囲気は把握しやすいでしょう。

しかし、ウンチでそう雰囲気からチャンスとばかり

大急ぎでトイレに連れて行っても便座に座らせた途端

出なくなる子は多くいます。

 

しかし、子どもは便意を催すとトイレに連れて行かれる前に、

カーテンの陰に隠れたり、人のいない部屋の隅っこに行ったりして、

こっそりウンチを出したがります。

太古の昔、排便の時は一番無防備なので、

身の危険が一番大きい時だった記憶のなごりかもしれませんね。

 

臭いでウンチに気が付いてすぐに取り換えられればいいのですが

気付かぬ間に紙おむつの中のウンチに触っていたり、

異物感から勝手に紙おむつをぬいだりして、大騒動になることもあります。

 

ウンチはトレーニング回数が少ないので根気根気で頑張るしかありません。

前夜に排便に効果ありそうな食材を食べさせるとかして・・・

便秘が長引くと子どもは集中力をなくしたり、ゴロゴロ寝転んだりが多くなり、

日中の活動、療育にも影響が出てきます。

 

おしっこはトイレで出来るようになったが、

ウンチの時は自分で紙おむつを出して穿き替えてやってしまう。

どうしたらいいでしょう?と相談してきたお母さんがいました。

私は、「紙おむつがあるからですよ。紙おむつをなしにするか、

隠してしまえばいいだけですよ。」と言いました。

 

おかあさんは即、実行。即、成功したと驚いていました。

 コロンブスの卵ですね。

 

紙おむつを卒業しても油断はできません。重度自閉症児は

排尿、排便をコミュニケーション手段として使うことがあるからです。

 

離席したいがため、わざとおもらししたりすることがあるのです。

また、辛い感情のあらわれとしてもらすこともあり、

緊張やストレスの表れとして頻尿になることもあります。

 

これは自閉症児に限ったことではありませんが・・・・。

 

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トイレトレーニングは奥が深い