心をのばす子育て

障がい児がだすサインの解読法

学習のすすめ

学習+ブドウ糖=脳の成長

 

 制作活動は 集団活動に参加する意欲を持たせるきっかけになります。

 

しかし、集団参加をさらに増やしていくためには言葉の理解が欠かせません。

言葉・場面を理解し、コミュニケ―ションを向上させるためには

認知発達つまり学習が必要になっていきます!

 

 障がい児教育の場では、身辺自立が出来ていないから、

まずは身辺自立が療育の最優先!と考えられがち。

 

手元に目線が来ない、手と目が協応しない段階で

ボタンをかけられるようにトレーニングすることもあるでしょう。

しかし、「手元よく見て!」などと必死に声をかけても

言葉の理解が十分でない子どもは、“手元”って何?とばかりに

目線をあらぬ方向に向けたりします。

 

仕方なく、ちょっとだけと手を貸したすると、今度はお任せモード。

身辺自立は遅々として進まずイライラが募るのはあるあるです。

 

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パジャマは家でしか練習できない

 

学習させようと思っても、鉛筆を持っていられないし、

着席や集中の時間も短い。

文字や数字に興味を示さない。

そんな様子を見ると、学習なんて・・・まだまだ無理!

その発達段階にはない、と判断したくなります。

 

確かに、身辺自立はやらなければいけない事ですが、

言葉の理解を伸ばすためにも、3歳を過ぎたら

認知発達を促す脳づくりに積極的に介入していく方が

身辺自立のトレーニングにも効果が出てきます。

 

自閉の症状が重い子どもであっても学習は必要です。

 

耳は聞こえていても、言われていることの意味が分からない。

見えてはいても、見ているものの意味が分からない。

発語が乏しい子どもの場合、自分の意思や気持ちを人に伝えることが困難。

その反動でパニックや不適正行動で表すことが多々あります。

 

そんな彼らに認知発達のための学習をしていくには、

あきらめず、投げ出さず成長への希望を持ち続け、

忍耐・根気で療育していく事が求められます。

まさに、ヘレンケラーとサリバン先生のような関係。

 

その並大抵ではない忍耐を覚悟して、

敢えて早期に介入するのはそれなりのメリットがあるからなのです。

 

3歳から4才ぐらいは、まだ自我もそれほど強くなく、

体格も小さく力も弱いので、つまり抵抗が小さいので作りに介入しやすいのです。

5才を過ぎてしまうと自我も強くなって、

自分のパターンやこだわりが強く出てきたり、

大人の指示や介助に対して抵抗も強くなったりします。

それに脳の発達において神経系は幼児初期に急速に発達し、

10歳ぐらいまでには大半が出来あがって臨界期に近づくと言われています。

 

急成長する幼時期に、適切な方法で適切な刺激を脳に与えていく事が

効果をあげると確信しています。

 

かってのこばと幼児学習教室では3、4歳ぐらいから

重度の自閉症児であっても認知発達を促すため、

学習課題に文字や数字を積極的に取り入れる療育をやってきました。

 

この年齢で? 発語のない重度の自閉症児にも?

読み書きを教えて将来何の役に立つ?

お勉強? それより身辺自立でしょ!!

 

そんな障がい児教育の時代にこばとの学習を取り入れた療育は異端でした。

 

 

しかし、認知発達を促す学習の狙いは読み書き計算を教えて

将来の仕事につなげるため、そのことが狙いなのではありません。

 

学習によって脳を活性化させるためでもあるのです。

近年は認知症のお年寄りにも学習を取り入れる施設があると聞きます。

重い障がい持った子どもにも脳活性化の効果が期待できるはず。

 

学習課題に取り組むことによって、

手と目の協応、視覚的弁別、指先の機能の向上・

注意力・集中力・持続力、言葉の理解・・・等につながっていきます。

 

子どもの正面から向かい合って、継続して認知発達させるため

視覚、聴覚、手、指を使った学習課題に取り組んでいくうち

対人意識のなかった自閉症児にも、人に対する意識

相手の話す言葉に耳を傾ける気持ちが育っていきます。

 

結果としては脳機能の障がいの程度、部位によって

読み書き計算ができるようになる子もいれば、そこまで到達しない子もいます。

 

しかし、結果よりも学習の過程が重要なのです。

コミュニケーションの気持ち、力が身についてくるのです。

 

 

 

昔、重度自閉症男子のお母さんが話してくれたことがあります。

 

急遽、息子を施設のショートスティに預けざるを得なかった時、

いくら言葉で説明しても息子は納得せず、不安な様子。

そこで思いついて、文字でショートスティの一日の流れを書いて示したところ、

納得し、落ち着いて過ごすことができた。

文字が読めるようになっていて本当に助かった。

 

 

まだ早い!まだ無理!とは思わず

幼児期から認知発達を促すための学習を始めるメリットは大きいものがあります。

将来の仕事の選択に直接繋がらないとしても・・・。

 

そして平成元年にこばとを立ち上げた時代とは雲泥の差で

現代は障がい児向けの学習教材も多く出回るようになりました。

是非、頑張って取り組んでみて下さい。

 

 

手前味噌になりますがですが、こばとも平成7年から支援教育教材を出していて

子どもが食いつきやすいと評価をいただいています。

今は9条図書として支援学校にも採択されてうれしい限り。

 

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こつこつ、スモールステップで継続すれば結果は付いてくる。