心をのばす子育て

障がい児がだすサインの解読法

自転車を使って感覚統合訓練

【バランス感覚】

 

 発達障がい児は手、ゆび先が不器用で親がおおいに気になるところです。

そこは目立つことなので、日々、根気、忍耐の練習で

スプーンやお箸、はさみやえんぴつなどの道具は何とか使えるようなるでしょう。

 

しかし、不器用なのは手、指先だけではありません。

 

 指示された動作、模倣がなかなかできず、体の部位の動きがばらばら・・・

指示とは全くちがう勝手な動き、わざとやっているのではありません。

バランス感覚も悪く、内股、転びやすいのも気になるところ。

 

動作を教えようとすると、やる気を見せず、ふざけたり

その場から逃げたりとすることもあるでしょう。

 

 叱られた時や、やりたくない事から逃げ出す時の無意識の身のかわし方、

逃げ足の速さ、常同行動のリズミカルなピョンピョン跳びを

目にする時は運動神経がいいのではないか、とさえ見えます。

しかし、意図的、目的的に体を動かさせようとすると全く不器用

ぎこちないことこの上ない。

 

 ぴょんぴょん跳びはリズミカルなのに、縄跳びをさせようとすると

両足そろえて飛び越すことが出来ず左右の足がずれる。

短縄跳びの縄も両手を同時・同方向に回せない。

または縄を回すと同時に跳んでしまう。

跳び箱も<跳び>と同時に<開脚>することが出来ず

両足揃えて台に跳び乗ってしまう、

自転車のサドルに跨ることを嫌がる子も少なくありません。

 

 無意識、反射的に出る動きと意識的、目的的にやる運動、身体能力は別物です。

動作のぎこちなさを何とかしたい。

感覚統合訓練なるものに通わせたいと考える親御さんも多い事でしょう。

そうは思っても通いやすくぴったりの専門機関が見つからない。

あっても高額料金で現実的にハードルが高い。

 

 確かに専門機関に通え得るには越したことはありませんが、

お金をかけずに手軽にできる感覚統合訓練があります。それは自転車です。

自転車こそ感覚統合訓練のベストアイテム!と

30年以上の療育経験で実感しています。

 

あっ、そうそう

こばとでは自転車の練習をさせる時は、初めから補助輪なしの自転車でやりました。

補助輪付きだと体が傾いても自転車は倒れないので、

瞬間的にバランスを取ろうとする意識が育ちにくいのと、

次に補助輪を取った時に怖がって足の回転の動きが止まってしまうからです。

 

自転車は集中力も要求されます。

そして全身の機能を一つの目的に向かって動かさなければなりません。

先ずサドルに跨って、姿勢を正し、ハンドルをしっかり持つ。

次にペダルに足を乗せ左右、交互に力を入れてぐるぐる回す。

方向や障害物を判断してハンドルを操作する。

ブレーキを適切ににぎってスピードを調節する。

物との距離感を判断し、それに呼応して手も足も反応する。

 

補助輪なしの自転車ひとつで感覚統合の訓練が出来るのです。

 

自転車?

もちろんやらせてみたいに決まってる!!でも、  

興味を示さないし、補助輪付きの自転車に乗せてもすぐ降りてしまう。

ペダルに足を乗せさせても足に力を入れず回転させられない。

 

大丈夫、頑張ってみましょう。

 

14インチの自転車のペダルに足が届くようになったら

是非、補助輪なしの自転車にチャレンジさせてみて下さい。

当然14インチや16インチの自転車には補助輪が付いているので、

まず補助輪を外し、両足スタンドに付け替える所からスタートします。

 

スタンドをたて静止した状態で子どもの足をペダルに乗せさせます。

「足をグルグル回して!」と声をかけますが、

ペダルに足を乗せたまま動かそうともしない!

それどころかペダルからすぐ足を外したり、

足の向きが悪くて外れてしまうことも多くあります。しかも同じ足!

「ペダルに足のせて!  ぐるぐる回して!」

子どもが足に全く力を入れようとしないのは、力の入れ方がわからないからです。

これでは練習以前、やっぱり無理か、

と、自転車は時期尚早の気持ちがよぎることでしょう。

 

ここであきらめてはいけなせん。

 

補助輪を外して、両足のスタンドにしたはこのためなのです。

スタンドをたてた状態で、子どもの足をペダルにのせ

グルグル介助しながら回させてみましょう。

 

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足の回し方を介助、ペダルと足を同時にに持って。

 子どもが自力で回せるようになったらしめたものです。回せるようになったらあとはパンドルまたは子供の体を支えて自転車を始動させます。

 

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背中も腕もつかんで

 

 

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背中の服をつまむように持って

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背中を押すようにして

 

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乗れた!

 あきらめずに練習を続ければ必ず乗れるようになります。

自分で少し乗れるようになると子どもにも意欲が出てきます。

自分から乗りたがるようになります。

自転車に乗れ様になった後の子ども達の身体機能の向上は、

彼らの運動に対する意欲を見ればよくわかります。

 

 自信が付いた子供たちは一輪車やスキースケート、ローラーブレードなど

興味の対象が広がって来ます。

 

 自転車に乗れるようになって、スイミングの時のバタ足が上手になった。

と、親御さんからの話を聞いたこともあります。

 

是非、感覚統合訓練として身近にある自転車を活用してみましょう。

介助する大人には根気、忍耐、体力が必要ですが乗れるまで頑張れば必ず乗れます。

そして子供は体で覚えたことは忘れません、。

さらに、自転車に乗れるようになると子どもの精神面が変わります。

自力で乗れるようになった時子どもの表情には喜びと自信が溢れます。

達成感を感じることが情緒面を成長させてくれます。

 

 

がんばった果実は大きいものがあります。

将来、サイクリングなどの余暇活動にもつながっていきますから。

 

 家族の楽しみも増えますから頑張ってくださいね!