心をのばす子育て

障がい児がだすサインの解読法

サインの読み方

んんなにこれ?

 

 自閉症児の育て辛さ、むずかしさは

子どもの出すサイン(気持ち、要求の表現)が読みにくいことにあります。

前後の脈絡に関係なく、自閉症児のサインは突然!予想外!

しかも、激しい!針の振りはいきなりマックス!

えっ、なに?なに?

どうしたいの?

声をかけても聞く耳持たず、ただただサインを出しまくるだけ。

人目があれば、抱きかかえてその場を去りたくなります。

 

何を言いたいのか分かろうとする前に気持ちが引いてしまいます。

親も泣きたくなります。

 

前後の状況には関係がないけど、

天候、高気圧、低気圧が関係している時もありますね。

 

 

何を意味するサインなのかが分からない。

言葉による意思疎通ができないなら、指差しで・・・

せめて目で・・・訴えてくれれば・・・

 

 太古、人類が十分な言語持っていなかった時代、

 眼球の白目と黒目の動かし方が

 重要なコミュニケ―ション手段になっていたと聞いたことがあります。

 

自閉症の場合、そのアイコンタクトが欠けていることが多いのです。

目は口ほどにものを言う、とはよく言われることですが

 目が合わない、

目を合わせてくれない、

目の前の大人は必死に子どもの顔を覗き込んで分かろうとしているのに

子どもの目の焦点は目の前の顔を通り越して虚空に・・・。

お手上げ状態、これが自閉症児育ての一番辛い所です。

 

 子どもの出すサインの意味は実に些細なことだったりします。

いつもと通る道が違う、方向が違う、交差点を曲がらなかった

同じ店で同じものを買わなかった、

見たい標識が見れなかった、遠くで工事中の音がする、

 

自閉症児は実に記憶が良いので、かなり前のことを覚えていてやろうとする。

親はそんなことはすっかり忘れてしまって、だいぶ経ってから

あぁ、あのことか!

 

それでも

成長するにつれて指示が通る様になり、

聞き分けして気持ちを切り替えることができるようにもなります。

同時に人の存在を意識するようになり、関わりたい気持ちも出てきます。

サインの出し方、持つ意味も変わってきます。

 

 振り向いて欲しい、遊んで欲しい、気付いて欲しい・・・の時も、

気付きにくいサインを出してきます。

それはされると困るいたずらが多いので、

大人はつい、「あっ!」「こらっ!、だめ」と声をだしたり

駆け寄って止めたりします。子どもの思うツボです。

怒る大人のリアクションが面白くなって、

次第に大人の顔を見ながら、わざといたずらする、叱る、追いかける・・の

悪循環に陥ることもあります。

 

いたずらする→気付いてもらう…

対人関係の誤学習に繋がりかねません。

 

 

やりたくない、出来ない、嫌だ!のサインをうまく出せないため

ちがう表現になってしまうことも往々にあります。

 

大声だし、寝転び、

八つ当たり(無関係な母親、自分より弱い子に対してつねる、

たたく、などの攻撃態度をとる。)

自傷や自己刺激など自分に対して攻撃的になることもあります。

頭突き、自分の手噛み、抜毛、唾吐き・・・

難しい、やりたくない課題作業はわざとぐちゃぐちゃにする、

破く、いたずら書きをする。

 

 攻撃的ではないサインもあります。

 

ごまかし、わざとヘラヘラ笑ってふざける、から笑い。

意識飛ばし、(心ここにあらず、聞えていないふり、自分が存在しないふり)

人を小馬鹿にしたような態度、

関係ない単語を連呼することもあります。

 

子ども本人はやりたくない、出来ないアピールなんですが。

嫌だと言わずに、激しい行動をとるので

周囲の大人はただ、行為を止める方向に行きがちです。

 

 

 

サインを読めない最初の頃は振り回されることも多く、

大人の対応も場当たり的になりがちです。

サインの表現が激しいと、親は意味がわからず

下手に出てご機嫌を取ったり、お菓子で誤魔化そうとすることもあるでしょう。

 

 

 

冷静に対応しようと思っても、

親も神経が参ってしまい、結局屈してしまいがちです。

親も次第に冷静を欠いて感情的に叱ってしまうこともあるでしょう。

親だって虫の居所の悪い時もあります。

親の方も叱ることで自己嫌悪に陥ったり、叱ることにむなしさを感じて

どっと疲れが出てしまうという経験も一度や二度ではない事でしょう。

 

自閉症児の出すサインを読み解くためには、親、療育者側にも

冷静な観察眼が必要になります。

 

前後の状況、過去からの気付き、子どものこだわり傾向

様々なことを総合して、サインが発信している意味を読み解くことが必要です。

他人を試す、叱られても繰り返す!という、人からは嫌われてしまう行動パターンを

身に着けてしまう、誤学習だけは避けなければなりません。

 

1人で、自分の好きなことをやっていて幸せそうな時、

子どもはこのようなサインはだしません。対人関係のある時に出します。

 

あっ、そういうこと?

と気付いて子どもの言いたいことを代弁してやったり、

分かったうえで対応してやることで子どもは落ち着き、

分かってもらえたことに安心するでしょう。

 

人にわかってもらうサインの出し方や

人に嫌われないコミュニケ―ションの取り方を教えていく事は自閉症児の

将来に関わるとても大切な療育です。

早い時期から好ましい人との関わり方を理解させていきたいものです。

 

次回からのブログでは困った行動に対する対処の

仕方を考えていきたいと思います。

 

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