心をのばす子育て

障がい児がだすサインの解読法

困った行動 その1 多動

自閉症児育ての困難さは、

親にとって困る行動の多さにあるかと思います。

 

なかでも自閉症の育て辛さの筆頭は<多動>かもしれません。

(おとなしく、あまり動かない自閉症児もいます。世話は楽なほう。)

 

多動の様態もいろいろ

 

①視覚刺激に即反応して動いてしまうタイプ。

動くもの、気になる物、音や光に過敏に反応。

呼んでも振り向かず、立ち止まらない。

その場にじっと立っていられない。

着席が続かない。集中が短い。

 

目に入るものの方向に突発的に、周りの危険にかまわず動く。

物にぶつかっても気にせず(いつの間にか青あざができている)、

中には横になっている人や物を踏みつけても平気で前進する。

あれこれ手当たり次第、触ってしまう。放り投げる、元に戻さない。

 

手も目も放せない。

手つなぎが出来ないので、子どもの手首をギュッと掴んでいなければならない。

 

②不安感が強いタイプ。

場所や状況の変化で不安になり、落ち着かなくなる。

その場にいられず、絶えずそわそわし、その場を逃げ出そうとする。

無目的に走り回ったり、すぐに席立ちする。

高い所に登りたがる。

その場から離れたい様子を見せたり、目を離すと勝手に出て行ってしまったりする。

制止を強要すると大声を出す、奇声をあげる。

 

 

③指示や声かけがないと何をやっていいのかわからずウロウロする。

ピョンピョン跳びをしたり、クルクル回りをしたり、

常同行動をしてたえず動き回る。

手走り手を叩きながらつんのめるように走る、

部屋の端から端へ行ったり来たり、無目的な行動をずっとやる。

しかし、その場からいなくなることはあまりなく、

受動的で声かけがあれば寄って来て指示に従うというタイプ,

ただし、①、②、③は明確に分化しているわけではなく多くは混在している。

 

多動に対する対策

 

①の視覚刺激に過剰に反応する場合は、刺激を除去するという方法もありますが、

いつでも除去できるわけでなく、現実的にも無理が多いです。

それに、多動児は外を歩く時、大人の手を振り切って

危険を理解せず見たものに突っ走ることも多いのです。

神経が休まりません。

 

なので、突発的な動きをしない、させないトレーニングが必要になってきます。

 

手首をギュッとつかんだり、背後から優しく抱いているように見せかけて

実は、動かないように押さえつけているのは多動の解決になりません。

力を緩めた途端動き出したりするからです。

手首を掴まれれば誰だって逃げたくなります。

 

先ずは掌と掌を合わせて手つなぎし、同じ歩調でゆっくり歩く練習。

手をつないでも子どもが大人を引っ張るように、綱引き状態で歩くのではNGです。

そんな時は大人は手は放さず力を緩め、

子どもが引っ張らないの力を入れていない姿勢になったらまた歩き出しましょう。

そして、待って、と言ってその場で立ち止まって、

子どもも大人と一緒に動きを止められるようになったら

次は手を放していてもその場に立っていられる練習です。

 

 ひっぱり癖を直すトレーニン

どこかで聞いたことがありますね。

 

子どもの多動を止めようと、いつも子供が走る後ろを追いかけて

捕まえる、というやり方は対人関係の誤学習を産みかねません。

その場しのぎにやっていたことがいつの間にか

”逃げる⇔追いかける”の遊びのパターンになってしまいかねないのです。

 

呼ばれたら立ち止まる!

振り向く!子どもの方から戻ってくる!トレーニングも必要です。

 

 

②の場合不安のために気持ちが落ち着かず、絶えず動かにではいられない。

そう行く時は不安のもとを断ち、

リラックスできる状況を作ればそわそわは無くなるでしょう。

 

しかし、そうもいかない場合の方が多いでしょう。

制止の理由を聞きいれて、動きたい気持ちを我慢する、

という子ども自身の自己抑制力を育当てていく事が必要です。

時間はかかるかもしれませんが、周りを見て、状況を理解する力、

話を聞いて理解する力が育ってくれば、

我慢する気持ちが育ち、多動は徐々に改善していくでしょう。

 

 

③の場合の多動は

やるべきことを説明したり、視覚的に分かるように提示したりするとよいでしょう。

また受動的・指示待ちではなく、

周りを見て自分から行動する力を育てることもひつようです。

 

 

いずれの場合の多動でも改善するためには、

じっとして待つということが出来る必要があります。

待つという意味が分からないと、

力で制止させられても力をゆるめた次の瞬間には動き出す、

ということになってしまいます。

 

待つを言うことをわかりやすい方法で教えてみましょう。

 

先ずは10数える間、じっと待たせるのです。

椅子などに座らせて、動こうとした時は軽く制止します。

子どもはいつまで待てばよいのかわかりやすいので指示に従い易くなります。

10まで出来たら20まどじっと待つ、というように

待たせる時間を延ばしていきます。

次第に数を数えなくとも待って!の声かけだけで

待つことができるようになるでしょう。

何か、落ち着いて来たね!

待てるようになると傍の目にも子どもの雰囲気落ち着いたものに

変わってたことが感じられます。

 

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少しの変化でも嬉しい