心をのばす子育て

障がい児がだすサインの解読法

偏食

何でもいいから食べて欲しい

 

2、3歳の頃からトイレトレーニングと並んで、

悩みの種になるものに<食>があります。

 

自閉症児の中には偏食・異食の子が多くいます。

 

異食癖の子どもは食べ物でない物を平気で口に入れます。

紙、ティッシュ、石ころ(小さい石は飲みこんで便に混じって出てきます。)

葉っぱ、土、輪ゴム、消しゴムのカス、

落ちている噛んで捨てられたガム・・・ 

 

・・・そんなものを食べるくらいならおかずを食べればいいのに・・・

 

見ている時はペッと吐き出させることが出来ますが

気付かぬうちに飲み込んで便に出てくる時もあります。

腹痛を起こしてしまう場合もあります。

異食防止、対応は周りの大人がよく観察しているしかないですね。

 

 問題は偏食です。

離乳食を与えていた頃は口に入れたものは何でも食べた子どもでも、

気が付くと偏食の傾向が出てきて、心配の種は大きくなります。

2歳過ぎて自閉症状が出てくる頃に、感覚器官が急速に発達して来て、

味覚、臭覚、食感過敏になってくるためかな、とも思います。

 

偏食も悩みですが、着席が続かない。

手づかみで食べたがりスプーン、フォークを嫌がる。

いちいち食べ物の臭いを嗅ぐ。

口に入れたものを出す。

食べ物で遊ぶ、ぐちゃぐちゃにかき混ぜたりする。

食事マナーのトレーニングもなかなか難しい・・・

 

偏食の傾向もさまざまです。

 

熱々のご飯は食べるが、冷めると食べない。

白いご飯は食べない。ふりかけをかければ食べる。

白い豆腐は食べるが、味が付くと食べない。

野菜は食べない。から揚げのような肉はたべる。

ソース、醤油など味の濃い物をそのまま舐める。

ジュースは飲むが、生水は飲めない・・・。

ジャガイモは食べないが塩、油のフライドポテトなら食べる。

 

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皆大好き、油と塩がいいのかも

 

偏食だからと言って、がりがりに痩せているということはまずありません。

むしろ,身長・体重ともその年齢としてはLサイズの方に入ることが多いのです。

偏食と聞かされても、見た目からは信じがたいこともあります。

 

ついつい、食べて欲しいので好きなものを多く与えたりするためかも・・・。

 

 痩せてなくとも偏食はやはり問題です。

こばとの幼児教室に来ていた自閉症男児は焼きそばしか食べない、と

おかあさんがが言っていました。

私は手作りの野菜入りの焼きそばかと思っていましたが、

「ぺヤング」オンリーだったのです。

 

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濃い味の麺だけ食べる

 

男児は病気になった時、免疫力の低下か何かで目の病気を併発して入院しました。

手術すれば視力は回復すると言われたそうですが、

術後目を擦らないでいられる年令まで延期となり、

お母さんは小学校選択にあたって盲学校入学を決断しました。

 

 

いつ災害が起きて、避難生活にならないとも限らないこの時勢、

やはり偏食は少しでも改善しておきたい症状ではありますね。

 

しかし、偏食を直そうとして、生理的に受け付けない時に

嫌いなものを無理強いしてしまうと、逆効果になることもあります。

子どもは嫌いなものを食べさせられると思って、

食卓に寄って来なかったり、好きなものだけを素早く手づかみで食べて

すぐ席を離れてしまったりします。

強要すると嫌がって大声を出したり、お皿を手で払ってしまったり・・

問題行動のきっかけを作りかねません。

 

偏食改善のポイントは、嫌いなものだけどちょっと食べてみようかな、

という気持ちを子どもの心の中に育てる事です。

方法としては視覚的に分かりやすい引きかえ、交換があります。

苦手な食べものを一口食べたら好きなおかずを食べても良い!

という条件を示すのです。

一度引き換えが成功すれば、子どもはその引き換えの意味を理解し、

我慢の程度がわかり食べてみようか、の気持ちが育ってきます。

 

白いご飯しか受け付けなかった重度自閉症男児が、

好物の焼きそばとの交換で、カレーを付けた数粒のご飯を食べれようになり

回を重ねるうちにカレーが大好物に・・。

 

食べものには特に好きなものが無く、食べることに意欲がなかったが

ビデオが大好きという男児

これを食べたら後でビデオを見ていいよ、の一言でビデオ見たさに頑張った。

その後はこの手を使って偏食改善に成功したという例もありました。

 

偏食と同じくらいの悩みの種、手づかみ!!

スプーンやフォークを持たせても、空いている方の手で手づかみ。

汁物であろうと手を突っ込む。

つい声を荒げたくなりますが、そこはガミガミ口うるさく叱らずに、

黙って手を添えててスプーンやフォークを使わせていきましょう。

誰だって食べている最中にあれこれ言われるのは嫌ですから。

食事は楽しいもの!という雰囲気づくりをしたいものです。

 

皆と同じテーブルについて「いただきます」から、

「ごちそうさま」まで着席させ、楽しく食事する習慣をつくれたら幸せ!!!

 

偏食の改善は情緒面の改善のバロメーターだとも思います。

自分の嫌なことでも相手の勧めに合わせたり、勇気を出して食べてみようかな、

という気持ちが育つことでもありますから。

 

 

こばとでは平成時代、中学生の社会トレーニングや

お出かけサークルをやっていましたが、毎年卒業祝いに

こばとの近くにあった、地中海料理のレストランで会食をしました。

 

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フルコース

小さい時は偏食で親を悩ませた中学生達も

オードブル、スープ、サラダ、パン、メインディッシュ、デザート、飲み物の

コース料理をほぼ完食。

 

あんなに偏食で生野菜など食べようとしなかったのに

付け合せのクレソンまで食べるなんて・・・。

情緒面が成長し、体の方も大きくなってくると、だいたいのものは食べられるように

なるものだ、としみじみ思ったものです。

 

逆に、その年頃には食べ過ぎを心配するほどに・・・・

 

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変化・成長を信じる気持ちを持ち続けて